水鳥

追い求めるあまり
ほら また 今日 一兎を失った

真っ直ぐ見ているつもりでも
どこか歪みを視界の端で
見つけた気がした途端


そこからヒビが入り
軈て 粉々に砕ける


両手で掬った水は
手の端や隙間から
たちまち溢れて


最後はその姿を消す


立つ鳥は後を濁さないが
人に限り 嫌な記憶は
永遠に 個人を 支配する