水鳥
追い求めるあまり
ほら また 今日 一兎を失った
真っ直ぐ見ているつもりでも
どこか歪みを視界の端で
見つけた気がした途端
そこからヒビが入り
軈て 粉々に砕ける
両手で掬った水は
手の端や隙間から
たちまち溢れて
最後はその姿を消す
立つ鳥は後を濁さないが
人に限り 嫌な記憶は
永遠に 個人を 支配する
外側を走る
ごはんを作っているときでも
洗濯物を干しているときでも
テレビを見ている今も
気になってしまう
僕が僕でない瞬間は
こういったときだ
大好きだからこそ
たくさん掻き乱される
もういっそのこと
カーブの外側を一生懸命走る軽自動車
みたいに振り回されよう
今日も 明日も
幼き頃の記憶
帰り道 しとしと降る雨の匂いが
昔の水鉄砲で遊んだ
子供の頃を思い出させる
傘なんて 必要ない
雨の日に外に出て遊んだ
楽しかった写真がブラッシュバックする
今度の休日は晴れるだろうか
水面に映った顔はチーター
大切なのは誰よりも速く獲物に向かって走ること
1番じゃなきゃ意味がない
誰かのものになる前に 眉唾
ただ己自身を満たすために
血走った目でその肉を貪る
そう思った僕の顔は
気付けばチーターになっていた
あの日が色褪せた思い出に
変わってしまう前に
何度も何度も 君に噛み付く
消えないような傷を付ける
しるし
突然 恋い焦がれて
思ったことが言えない
伝えられない 伝わらない
きっとこの迷路は難題
謎解きの鍵なんてどこにもない
もっとシンプルに考えたい
でも
この迷路から 僕は逃げない
ひねもす意識するのが 距離感
だから
外でバレないように
引っ張りすぎて切れてしまわないように
また 次の約束のために
想いを込めて 消えない傷をつける
Swing of life
地震で大地が揺れる
風で木々が揺れる
声で心が揺れる
涙で景色が揺れる
幸せが時間を揺らす
怒りが理性を揺らす
悲しみが現実を揺らす
後悔が安定を揺らす
そんな僕が僕自身を揺らす
光が影を揺らす
香りが僕を揺らす
契りで胸を揺らす
君が僕を揺らす
今度は君の中に新しい風を吹かせて
僕が君の心を揺らす
横文字小説 冒頭
感情と思考を切り離す日々
くっつくことなど ほとんどない
君に会うまでは